goldscull・不完全な完全犯罪Ⅲ
 「すいません遅くなりまして。木暮を殺したの犯人が逮捕されたとききまして……」
そう言いながら、木暮敦士の元マネージャーと言う人が入って来た。

勿論俺とは初対面のはずだった。
でも、何処かで会った人だった。

俺がじろじろ見ているのが気にくわないのか、その人は俺を睨み付けていた。

俺はますます、解らなくなっていた。
確かに何処かで見た顔だった。




 (――ボンドー原っぱの時のように思い出せねー!!)

俺は焦っていた。


(――ん。
ボンドー原っぱ!?

――あー、あれだ。あの人だ!!)


「刑事さん、この人が木暮の兄貴を殺したの真犯人です!!」
俺は大声で叫んでいた。


さっき垣間見たゴールドスカルの意識。
鏡に映ったストーカーの男性は、女性が男装した姿だった。


そしてそれは俺の目の前にいるマネージャーだったのだ。


木暮敦士はこの人を男性だと思い込んでいたのだった。

ノーメイクだった。
でも目が同じだったのだ。


従業員用エレベーターの鏡に、慌てている彼女の姿がはっきりと写っていたのだった。


それはさっき俺を睨み付けた目、そのものだったのだ。




 女は化粧一つで化けると言う。
それは、このマネージャーのことではないのだろうか?


常に一緒にいるマネージャーをMAIのストーカーだと木暮の兄貴は思ったんだ。
普通なら解るはずだ。
俺は単純にそう思った。


でも何故か気が付かなかった。
それはきっと、木暮には死神としての顔を見せていないからなのだろう。
彼女は恋しい人を手に入れるためには殺人さえも犯す、死神なのだろうと俺は思った。


 ゴールドスカルのペンダントヘッドを衝動買いしたMAI。
それを木暮敦士が見つけ身に着けた。

MAIのプレゼントだと思い込んでいたのだ。


MAIのお腹にいた自分の子供をマネージャーが殺したことを木暮敦士は知らずにいた。
そもそも、MAIが妊娠していた事実も知らされていなかったのだ。


そんな時にあのデパートでの新曲発表会の当日になったのだった。


マネージャーは木暮敦士を見張っていた。
本当は片時も離れたくなかったのだ。


でもその時、ゴールドスカルのペンダントヘッドを見て掴んでしまったのだった。


スキンヘッドだったから掴み易かったからだ。
でもその時、マネージャーはMAIの掌に居た流れた胎児を思い出した。


マネージャーは半狂乱になって、それを引いてしまったのだった。


でもそうしている内にエレベーターは閉まり移動をしてしまったのだった。
気付いた時はもう遅かったのだった。


慌てて降りてきたマネージャーは、木暮敦士の遺体を見てしまった。
愛する木暮敦士の命を奪ったゴールドスカル。
その時、この凶器を隠蔽することに決めたのだった。




 ボンドー原っぱはMAIの彼氏ではなかった。

彼は木暮敦士の所属していたロックグループのリーダーだったのだ。

彼はマネージャーに頼まれて携帯でMAIの写真を撮った。
それが何に使われるかも知らないで。


マネージャーはMAIの新しい彼氏を狙っていたのだ。


ロックグループのボーカルとして売りだそうとしていたのだった。

そしてあわよくば恋人にと考えていたのだった。

携帯の中に保存された映像で、MAIの恋人がボンドー原っぱだったと決め付けられるだろう。
マネージャーはそう思っていたのだ。


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