ペテン死のオーケストラ
外に出たマルメロは図書館に向かっていました。

図書館はマルメロの好きな本がたくさんあり、お気に入りの場所です。

何より、静かで決して悪口を言われない場所。

マルメロは、本を読むためでなく考え事をする時にも図書館に行くのです。

図書館についたマルメロは、適当に本を選び席につきました。
そして、考えます。

「存在価値のない男ね」

マルメロは、傷ついてなんていませんでした。
それどころか、自分の存在価値が高まったと思っていたのです。

「やっぱり、私は特別な存在だわ。まぁ、お母さんにはピッタリの男だわね」

考えてると、笑いが込み上げてきますが我慢します。

「お母さんって、男をみる目がないのね。お父さんにも捨てられてるし。いや、そういう男にしか相手にされないのか…」

マルメロは、最高に気分が良くなってきました。

「馬鹿馬鹿しくて笑っちゃうわ」

笑いが堪えきれなくなってきたため、本に目を通しました。

本は、ある女性の生涯が書かれた内容です。
この女性は、王妃の座を勝ち取るために戦った人物。容姿にも、あまり恵まれなかったが戦略的に王を攻め、己の目的を達成しました。しかし、最後は惨めなもので勝利をおさめたとはいえない人物です。

マルメロは興味がなかった本ですが、読んでいるうちに真剣になっていきました。

「何て素晴らしい人物!まさに私と同じだわ!」

恐れを知らないマルメロは、自分を本の女性と重ねました。
そして、決意します。

「彼女は最後に失敗したわ。目的を達成したとは言えない。これは、私に託されたということ!」

マルメロは、自分は女性の無念を引き継ぎ託された者だと感じたのです。

「やってやるわ!やっぱり、私は特別だったのね。必ず、証明してみせる」

マルメロは、大きな野望を胸に本を閉じました。


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