ペテン死のオーケストラ
長い言い合いが続き、決着が着かないかと思われた時にサイネリアが言い放ちました。

「わかったわ。なら、私がやったとしましょう。でも、それは操られていたとしたら?」

人々は、驚きながらも意味が分かりません。
マルメロも意味が分からず、サイネリアに聞きます。

「サイネリア、何が言いたいの?」


サイネリアはニヤつき答えます。

「マルメロ、覚えてないの?私に王を殺すように奨めた事を」


マルメロは驚きます。
冗談で言った些細な言葉を、サイネリアは恐ろしく話すからです。

人々はざわめきます。

サイネリアは畳みかけます。

「もちろん、私は王を殺すなんて考えもしないわ。でも、マルメロは言ったわよね。それも、一度だけじゃない。王を殺す、と口に出して言うだなんて尋常じゃないわ。それを願っているということよ」

「あれは冗談で…」

「冗談?悪いけど、冗談には見えなかったわ。恐ろしい目で私に言ってきた。そうでしょう?」

「違うわ。ただ、ふざけて…」

「言ったの?言わなかったの?」

「それは…」


マルメロは黙ってしまいました。
サイネリアは微笑んでいます。
人々は「やはりマルメロか?」と思い始めました。

ストケシアは、うなだれています。

すると、サイネリアが案を出します。

「皆さん、マルメロに猶予を与えませんか?」

人々は急に話し掛けられ驚きます。
サイネリアは続けて言いました。

「まだ、マルメロが犯人だと分からないと考えていらっしゃるのでしょう?なら、猶予を与えマルメロの態度を伺いませんこと?それから、判決を出しても遅くはないですわ」

マルメロは何も言えませんでした。
いくら話し合っても、らちがあかないのです。
少し、諦めの気持ちも混じっていたのです。

人々は、サイネリアの意見に頷き、城の塔に幽閉する事に決まりました。

ストケシアは、また騒ぎ出し叫びます。

「みんな違う!間違った判断だ!!」

人々は、ストケシアの混乱を無視します。

マルメロも力がぬけた様子で、人々の指示に従います。

サイネリアは、少し笑っているような顔でマルメロを見ていました。
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