Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
しばらくの沈黙が続いた後、ロイは気持ちが決まったと言わんばかりにローグとジルを見た。

「分かったよ。あんたらには負けた。
協力するよ」

「本当か?」

「あぁ。あいつらから離れて三年。もう関係ないと思って黙っていたが、俺もあいつには言いたいことがたくさんあったんだ」

そう言って淹れ直したお茶のカップを飲み干した。

ロイのその目線は、降り続く雨に打たれた一枚のガラス窓、更にその向こうの闇へと向けられていた。

ロイはその闇の中に何を見ているのだろう。


「あいつって、さっきの人?」

ジルがふと疑問に思って訊いた。

「いや。ジャンの言っていた盗賊の頭…。
俺の弟だ」

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