キズだらけのぼくらは


無様に崩れた結愛に、容赦ない視線が浴びせられる。

笑いを含んだ話声、あわれむようなヒソヒソ話があちらこちらで飛び交う。

誰も彼女に手を差し伸べる者はいなかった。いるはずがない。

こんなことに関わりたくはないし、助ければ、白々しい。

騒動の最中、なにも助け舟を出さなかった者が今になって手を貸すなんて、こんなにも白々しいことはないでしょ。

私は汚いノイズを、イスを引く騒音でかき消した。

珍しく視線が私に集まる。

それでも私は、心が望むままにある場所だけを目指して前へと進む。

ああ、見たければ見ればいい。アンタらと同じように汚くて、白々しい私を白い目で見ればいい。

でもね本当は、この子だけはそんな目で見られる必要ないよ……。

秋穂の机に左手をついて、もう片方の右手を無言で眼前に差しだす。

恐る恐る顔をあげた結愛は小さく息をのんで、弱々しい瞳で私を見つめていた。

「……もも……かっ……」


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