キズだらけのぼくらは


徐に左の手首につけられた毒々しい蛍光色のリストバンドが外される。

「ほら、こんなキズがあったら、無理でしょう」

リストバンドの下から現れたまっ白な細い手首。

私はなにも言うことができずに、黙ってその場所を見つめる。

わかってはいたんだ、そのリストバンドの下にあるものは……。

だけど、いざ見るとなんの言葉も出てこなかった。

地面を叩く雨音が強く強く、私の頭の中まで鳴り響く。

結愛の綺麗な白い手首には、くっきりと何本ものまっすぐなキズが刻まれていた。

私の脚にあるキズよりも、痛々しく、残忍に……。

殴りつけるような雨音を聞きながら、私は呆然としてしまう。

そんな間にも彼女はそそくさとリストバンドをはめ、また少し笑顔に戻っていた。

「自分で、好き好んでつけたキズなんだから、気の毒に……思う必要なんてないんだよ」

暗い影が落ちる結愛の笑顔が痛かった。


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