キズだらけのぼくらは
私はみんなの視線が集まる中、手を床につきながらかっこ悪く立ち上がった。
床に手をついた時につぶれた布製のペンケースを自分の机の上に置くと、私はまた教室の出口へ向かう。
またアイツらがなにかを言っているけれど、もう耳を傾けることもしたくなかった。
こんな空気の悪い場所にはもういたくない。
ふと、出入り口手前にあるゴミ箱に目を向ければ、綺麗な文字で関谷新太と書かれたノートがごっそりと捨てられていた。
横目にはちらりと、数人の男子生徒の満足げな笑いが映りこんだ。
こんなことをして何が楽しいの……?
どうかしているアイツらの笑顔は、悪魔以上に非情だ。
私は、ただただここを出ていきたかった。
出ていっても、逃がれることができないのは知っている。
だけど、せめてちゃんと息ができる場所に行きたい……。
ここにいたら息さえできなくなりそうだから。
私はそんな教室を抜け出して、あてもなく歩きだした。
どこに行くべきかもわからないまま。
「羽咲さん、大丈夫?」