キズだらけのぼくらは


そうして、たどり着いた先はやっぱり、あの場所だった。

風が吹きすさぶ高い場所。ひび割れて乾いた色をしたコンクリート。

今日も誰もいない、崖っぷちのような屋上だ。

屋上に出ると、新太は結愛の手を解き、フェンスの方へと近付いていく。

結愛は俯き、長めのセーターの袖で目のあたりを拭っていた。

「新太、ごめん……。ありがとう……」

頬をきるような風が吹いている。

風はもう冷たくなっていて、結愛の声が余計に震えて聞こえた。

「謝ることはない。礼を言われることもしていない」

顔も見えない新太の声は、冷たい風にからめとられるように、すぐ消えていく。

私は、今もなにもすることができず、ただ壁に寄りかかる。

せわしなく涙を拭う結愛の背中をさすってやる資格もないし、フェンス越しになにかを見つめている新太にも近づけなかったからだ。


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