キズだらけのぼくらは
私は入口に突っ立ったまま動けないでいる。
彼は首だけをこちらに向けて、切れ長の目の端で私をとらえていた。
表情のない顔は窓からの日差しを受け、高い鼻と前髪によって濃い陰影ができている。
整っている顔が、とても冷酷で恐ろしく見えた。
彼の刺すような眼差しが怖い。
今朝のよりも冷え切っていて、無感情な眼差し。
まるで人間らしさを感じられない。
でも、私が怯えているうちにも、彼は飛び降りるように机から降り、くるりと向きを変えると私の方へ向って真っ直ぐに迫ってきた。
普段、いじめの現場を見たってただ通り過ぎることができるのに、体が強張って動かない。
一歩一歩近づいてくる足音。歩幅が大きくてどんどん近くなる。
なぜ怖いのかわからないけれど、私はきつく瞼を閉じて、震えながらその場に踏ん張った。
なのに、予想もしない言葉が、頭上から降ってきたの。