キズだらけのぼくらは
「あのさ、邪魔なんだけど」
えっ……。
驚いた私は、ゆっくりと目を開ける。
すると私の顔の数センチ先には、2つ目のボタンまで開けられ、少し焼けている男の子っぽい胸元が見えた。
私は恐る恐る、そこから首筋をたどる。
そして上を見上げれば、眼前に彼の顎先。
わずか数センチしかない、息がかかってしまいそうな彼との距離。
「ひゃあっ」
私は変な声を出しながら、廊下へとすぐに飛びのいた。
よろけそうになってすぐ壁に寄りかかったけど、まだ足元はふらついて、心拍数はおかしいくらい上がっている。
彼はそんな私はおかまいなしにカバンを肩に背負うと、涼しげな顔をして前を通り過ぎる。
だけど私は、彼のそんな態度にムカついて、通り過ぎていく彼を睨みつけていた。
その顔が、私を軽蔑しているように見えたから。
だから私は、通り過ぎていく彼から目を逸らさずにいたの……。