キズだらけのぼくらは


初めて、ほんの少しだけ秋穂の目に動揺が見えた気がする。

でも、その空気を先に取り払ったのは、結愛の凛とした一声だった。

「だから私、変わるよ」

秋穂は驚いたように口を少し開いて、結愛を訝しげに見つめた。

「好かれるためにとりつくろうのも、上辺だけで謝るのももうやめる。新しくできた大事な友達をキズつけないために」

結愛が突然、私の手をとる。

温かくやわらかい手で、ギュッと力がこめられる。

「だから、アキも今度は間違っちゃダメだよ……。じゃあね……、アキ」

最後の言葉は、心なしか涙に濡れていた。

そして私にはこうも聞こえたんだ。

“じゃあね……、昔の私”って……。

そんな結愛は私の手を引いて歩きだし、振り向きながら微笑みかける。

その表情は清々しくて、新しい髪形によく似合うとびきりかわいい笑顔だった。


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