キズだらけのぼくらは


アキムに招待された、月がいなくなった夜のサイトだ。

嫌味な管理人からのメッセージは変わっていないし、チャットルームに入っても誰もいない。

アキムが出入りした痕跡すらもない。

1日に何度ここにアクセスしても、同じことだった。

人がいたとしても、ソラやブラックだけ。

ソラを信じたわけじゃないけど、アキムは現れる気配すらもない。

私は乱暴にスマホの画面を消すと、黒いスカートのポケットに放りこんだ。

アキムは、本当にきたないヤツだ……。

それに、ソラやブラックだって、信用なんてできるはずがない。

大きくため息をついた私は、ベンチから立ち上がると外を見た。

相変わらず雨は降っている。

そろそろ帰るかな。

これ以上待っても意味がない気がして、私は荷物を取りに教室へと向かった。


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