優しい爪先立ちのしかた
梢は心に引っかかりを感じながらも、店を出た。遅めの昼食を取って、二人はデパートから出る。
「あ、お兄さん来てるかな」
「そうかもしれませんね」
これから心重たい宴会だと言うのに、栄生はどうしたものか少しワクワクしていた。
嶺が来るから? ではない、と梢は予想する。違う、もっと他の何かを行う気だ。
半年も一緒に栄生と暮らしていないのに、そういうのはなんとなく感じられた。
根本が似ているから、と言われればそうなのかもしれない。
「俺は気が重たいですけど」
「庭師の人も一部の人は居るよ?」
「そうなんですか」
お偉いさんばかりだけどね。
その言葉を付け加えて、梢の落胆を受ける。