あなたと私のカネアイ

好奇心と好き

 か、可愛いっ!

 テディベアが結婚式をしていたり、ファッションショーをしていたり……めちゃくちゃ可愛い!
 この前の約束通り、連休に2人でやって来たのはテディベア博物館だ。
 家から車で2時間ちょっと、朝もゆっくり出てきて運転は円がしてくれた。
 実は“お泊り”ということに緊張してたけど、館内に入ったらそんなことは吹っ飛んでしまった現金な私がいる。

「結愛、ほら、この子の表情も可愛いよ。着てる洋服も似合ってるよね」

 円が繋いだ手を少し引っ張って、足を止める。
 彼の指差したテディベアはくりくりした目が可愛くて、毛並みもふさふさだ。男の人からしたらどれも同じように見えるんじゃないかって思うけど、円は私に合わせてくれてるのか、細かい装飾やちょっとした表情の違いを見て私と共有してくれた。
 歩幅を合わせて、のんびりとテディベアコレクションを堪能して、私はとても楽しいけど、円は無理してないんだろうか。
 そう思って円を見上げると、私の視線に気づいた円は「ん?」とちょっと首を傾げた。

「疲れちゃった? カフェで一休みする?」
「ううん……まだ見たい」
「じゃあ、行こ」

 そう言うと、円は手を握り直した。
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