本当はね…。


逃げるようにして生徒会室に来たは良いものの…。
「さっそく、今日の活動についてだが…」
結局全員揃ってしまうことに変わりはないのだ。
今は佐々舞尋を中心にしたミーティング中。
「以上が今日の連絡だ。役割の分担だが……。」
今日は生徒会室の整理と掃除がメインらしい。
「…そーだなぁ。資料整理を…七瀬に任せるか。」
「わかりました。」
「あとは……」
佐々舞尋の視線がカオル先輩に向かっていく気がした…。
……お願い…、カオル先輩は…ちょっと…。
心の中で願った。……が。
「カオル?お前も資料整理任せていいか?」
予想はそれなりにしていたが、カオル先輩の名前が呼ばれた瞬間、肩に力が入ってしまった。
なんとなく、顔を上げられない…。
「あー…俺か…。んー…別にダメじゃないけど…。」
カオル先輩も困ってるのに…。こんな露骨に…私、最低だ…。
なんて思ったその時…。
「はいはい‼僕、チサちゃんと資料整理したいっ‼」
私の隣から、可愛らしい声が聞こえた。
「…ユキ?」
佐々舞尋もいきなりで驚いているようだ。
「ね?いいでしょ?チサちゃん?」
皆に確認するように首をかしげるユキ先輩。
私は…いいけど…。
ていうか、むしろその方が助かるというか…。
「私は…良いですよ…?」
歯切れ悪く返事をする私に、ユキ先輩は引っ付く。
「じゃっ、決まりね‼早速あっち行こ。」
相変わらずの強引さ…。
でも、今はそれに救われてたりする。
資料は生徒会室の隣の部屋にまとめてある。私達2人は生徒会室を出なくてはならない。
私の手を引くユキ先輩は、ルンルンしていた。
生徒会室を出る時…、視界の端にカオル先輩が見えた。私は顔を上げられず、そのまま生徒会室を出た…。
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