本当はね…。

次の日…。

「……なんで…。」
七月上旬、夏も本番に近づく頃。
私は一軒の家の前で3日分の荷物を詰めたキャリーケースを抱えていた。
……なんで、こんなことに…。

ー昨日のことー
あの後、話もまとまり皆が帰る準備を始めていた。
一週間が終わった…なんて気楽に考えていた私に…。
『チサちゃん‼明日は僕がお勉強教えてあげる‼楽しみだねぇ。』
………え?
ユキ先輩がそばに来たと思ったら、予想外の爆弾発言。思わず帰り支度をする手が止まってしまった…。
『…え?あの…私も参加するんですか?』
聞き間違いかも…と思い、とりあえず確認のつもりだったんだが…。
『うんっ‼僕、“生徒会で”って言ったよね?』
……嘘でしょ⁉
『僕…言ったよね?』
ユキ先輩……顔は笑顔なんだけど…目が笑ってない…。
マジか…。この人…ここに来て腹黒な部分だして来たよ…。
『…はい。参加します。』

…………ということで…

「あれは参加するしかないじゃん…。」
今思い出しても、あれ以外の答え方がわからない。
ユキ先輩…恐ろしいわ。
まぁ、そんなこんなで私も勉強会に参加することになってしまった。
「にしても…家でけぇ。」
おそらく佐々舞尋の家だと思われるその大きさは…予想をはるかに上回っていた…。どこぞの旅館だ、レベルの大きさ。
まぁ…全員泊まれるくらいだからね…。
ていうか、着いたのは良いんだけど…。
………。
「…どうやって入れば良いのこれ…。」
問題はそこだ。インターホンを押せばいいの?それとも叫んだ方が良いの?
悩んで悩んだ末…。
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