生意気なKiss
「俺が店出したらセンパイ絶対来てくださいね♪」
ミネラルウォーターをコップに注ぎながら真木が言う。
「オープニングに招待しますから♪」
「店出すのが夢なの?」
「はい、ゆくゆくは♪
俺が作った料理を、おいしいって食べてくれる人がいて、その人の笑顔を間近で見られて、ありがとうございます、って俺が言って。
そんな生活できたら、俺世界一幸せ者だな、って思うんですよ」
…まぁ夢ですけど、と笑う真木がなんだかキラキラ、輝いて見えて。
「…叶うよ、その夢」
あたしは料理とか全然しないし、よくわかんないけど。
でもコイツの作る、今目の前にあるナポリタンは物凄くおいしくて。なんだか食べる人への愛情を感じる。
何より真っ直ぐに夢を見据える真木の瞳が
「…センパイにそう言われると
なんだか本当にそんな気がしてくるから不思議ですね♪」
…なんだか酷く胸に刺さる。
「…センパイは夢、あるんですか?♪」
トン、と机にコップを置いた真木が、あたしの正面に腰を下ろした。