ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
「あっ、優花さん!!ドコ行っ…。何で、叶と手繋いでるの…?」

玲好君は、私達を見付けて近寄ると。私と叶君が、手繋いでる事に疑問を持っていた。

「いゃ、それが……」

私は、グランドに着く前に。何度も何度も、叶君に手離そう?と、言っていたが。全て無視された。…それどころか、叶君は。私が急に解かないように凄い強い力で手を握ってた。

「玲好に関係無いじゃん」

「……そっ、そうだけど……。……何でかなって、思っただけだし……」

「知る必要も無いよ」

「……………」

「それに、玲好はいつも優花とゲームしてるんだから。良いじゃん。偶には、僕に優花を譲ってよ」

「ゲームしてるとか、関係無い…もん…」

玲好君が、珍しく叶君に逆らった。私も叶君も、少しビックリしてた。……でも、玲好君の手は……、ちょっと震えてた。

2人の間には、険悪ムードがプンプン漂ってた。

「ぁっ、あの…。喧嘩はぁ…」

「大体、玲好は。いつも優花と居すぎ。僕だって、優花と一緒に居たいんだけど?」

「だっ、だったら……、俺より早く優花さんの事誘えば良いじゃん……」

「優花の隣に、いつも玲好が居るから誘えないんじゃん」

「そこまで、一緒に居ないもん……」

「はぁ…。面倒くさっ…。じゃあ、良いよ。……優花、コレからは玲好とじゃなくて僕とずっと一緒に居ようね。コレは、約束だからね」

「……優花さん、嫌がってるよ」

「優花は、そんな事一言も言ってないけっ…」

ゴンっと、玲好君と叶君の方から鈍い音が聞こえた。 

「「いったぁ……」」

叶君の後ろには、愁太さんが。玲好君の後ろには、愛希さんが居た。

「叶、優花ちゃんが困ってんじゃん。手、離しな?」

愁太さんが、私と叶君の手を引き剥がす。

「叶が、優花ちゃんの事をどっかに連れて行ったから心配で来て見たら…。2人で、優花ちゃんの取り合いしてるって…」

愛希さんが、半分呆れていた。

「男の嫉妬は、醜いぞ」

「愁太の性格の方が醜いケドね」

「叶!そんな事言ったらダメでしょ!愁太に、謝りな?」

「本当の事言ったダケだし…」

「かーな!」

愛希さんが、腰に手を当てて怒る。……いつ見ても……。やっぱり、愛希さんの怒り方は迫力が無い。

「ふんっ……」

「コレが世に言う『反抗期』か……」

いつから居たのか、玲愛君が溜め息混じりで。私の後ろから呟いた。

「うっわぁ!玲愛君!いつから居たの?!」

「叶の、玲好には関係無いじゃんって所位から?」

「結構前から居たんだね…。声掛けてくれれば良いのに…」

その方が、私の疲れも半減するし…。まず、喧嘩をしなさそう…。
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