恋愛歳時記
そして、今。

日曜日の午後10時。

私は征司さんに手を引かれて歩いてる。

彼のもう片方の手にはちょっと大きめのキャリーケース。
大柄な彼に似合わないピンク。

中には数日分の着替えと化粧品などの日用品。
中身もキャリーケースも私のもの。

『冷蔵庫の中身を片付けたいから帰るね』

『じゃあ、送ってくよ』

それが午後5時のこと。

『征司さん、夕飯作るけど食べる?』

『食べる』

それが午後7時。


それから午後9時。
コーヒーを飲んで一息ついて、テレビは何を見ようかなという頃。

『そろそろ帰るぞ』

『うん』

『あのキャリー、何日分くらい入る?』

『へ?』

『化粧品も忘れるなよ』

『う、うん』

流れで3日分はあるであろうお泊りセットを用意した私。

征司さんは家電の電源を切ったり、カップを洗ったり、戸締り確認をしたり。

あれよ、あれよという間に再び征司さんのマンションに向かってる。
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