始まりは一本の電話
 雫が勢いよく扉を開けると、ぶつかりそうになった春成は扉を手で押さえた。

「こんばんは、雫」
「こんばんは」
「驚いているね」
「もちろんです。あの、どうぞ入ってください」
「ありがとう」

 雫が中へ入れようとすると、春成はそっと雫の手を握った。
 
「今晩、家に帰ることができないんだ。泊めてくれる?」

 春成の嘘が何だか可愛らしくて、雫はくすくすと笑った。

「わかりました。よろしくお願いします」
「うん、こちらこそよろしくお願いします」

 冷たい手をした春成にホットミルクを作ることを考えながら、雫は春成の手をぎゅっと握りしめて、彼に微笑んだ。そのお返しに春成は雫の頬にキスを落とすと、雫は真っ赤になった顔をもう片方の手で隠した。
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