ハートフル・アーツ
公園



「ちょうど暗くなったころじゃな。」

老師が空を見上げて言う


「修行する人は皆、この公園を使うのか…?」

幸大が以前に幸明と修行した公園に立ち呟く




「お、さらにタイミングが良いのう。

ワシが見せたかったのはあれじゃ。」


老師が数匹の野良猫を指差す


「毎夜、集会のように集まっとる。」

「それが何かあるのか?」


「近くにネズミの巣があっての…

この時間に…」



「あ…」


幸大が一匹のネズミを見かける


「ネズミが猫の後ろを通ろうとしてる。」

幸大が言う


「うむ。

あのネズミもさすがは野生。

足音も少なく、気配も微々たるモノ。


あの猫はどうすると思うかの?」


一匹の佇んだ絵にもなりそうな白い猫


ネズミに気づかないかのように空に浮かぶ月を見ていた


「ネズミが動くようじゃ…」

猫の付近で動きを止めてまるで機会を伺っていたかのようなネズミが動き出した



「ニャアッ!!」


ガッ!!

猫は後ろを通るネズミを1度も確認せずに振り返りながら的確にネズミに飛びかかった



「…どうじゃ?


姿も見ずにその存在を捕らえた猫を。」

「グロッ!!」

ネズミを喰らう猫を見て幸大が言う


「そこではなかろうに…」

老師が言う


「猫が後ろのネズミの存在を感じて食いついた。


『気』を読めるならそういうのもできるのか…」


幸大が言う
< 157 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop