ハートフル・アーツ
「ん…」

幸大はリビングで目を覚ました


「あの…シェリーさんは何をしていらっしゃいますか?」

幸大が言う

「膝枕よ?

男はこれが嬉しいって聞いたことがあるわ。


正座文化のある日本ならでは、よね。」

シェリーがうちわで幸大を仰ぎながら言う


「ジニーは?」

「ちゃんと髪を乾かさないとって言って洗面所でドライヤーを使ってるわ。」


「そっか…」



「ジニーからチラッと聞いたんだけど…あんた…フィアンセがいるんでしょ?」

シェリーが言う

「ああ。

今度、紹介するよ。」


「あんたはその人を愛してるの?」

シェリーのうちわを仰ぐ手が止まる

「そりゃ、当たり前だろ?

俺は…そいつのために…そいつの隣に立つために武術を始めたんだ。」

幸大が言う

「じゃあ…ジニーのことは好きなの?」


「…。

本人にはあんまり言ったことないし…

シェリーもあいつには言わないでくれよ?



ジニーのことも愛してるよ。」


「…フィアンセと比べたら、どちらが好き?」

シェリーが言う


「どっちも。

心は測ることは出来ないからどっちが…とかはないと俺は思ってる。」



「じゃあ…その…私のことは?」


「愛してるよ。

俺は真正面から好きだって言うのは照れ臭いから苦手なんだけどな。」


幸大は寝たまま手を伸ばしてシェリーの頬に触れた
< 231 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop