ハートフル・アーツ
「おとなしく助けてもらってりゃ良かったのになぁ!!」

近藤が朱里に殴りかかる


「ハァッ!!」

ドッ!!

「うぐっ!?」

朱里は木刀で突きを繰り出した


その一撃は鳩尾を穿つ

腹筋の境目をうまく捉えていた



「オラァッ!!」


ドウッ!!

「ぐぬぉっ!?」

近藤の脇腹がメリケンサック付の明日香の拳で抉られるかのように殴られた



「セイッ!!」


ゴゥッ!!

「ひゅがっ!?」

朱里は木刀で近藤の喉を穿つ


近藤は痛みと同時に呼吸も阻止された


「これで…とどめだぁ!!」


バキャッ!!


近藤の顎の骨が亀裂を作る音は明日香の顎への渾身のアッパーから生み出された


「あが…」

ドサッ…

近藤が倒れた


顎は砕かれたわけではないが、その衝撃は脳震盪を引き起こしていた




「はぁ…はぁ…リーダー、勝ちましたよ!!」

明日香が言う

「ああ、やったな。」

朱里が言う



「二人はそのまま休んでいてくれ。

僕は幸大に鍵を渡しにいく。」

クリスが言いながら朱里にハンカチを渡す

「これは?」

「顔の血くらい拭いた方がいい。

絆創膏はジニーが持ってるはずだから借りてくる。」

クリスが言う

「ん…洗って返す。」

朱里が傷口をハンカチで抑えながら言う


「フェンリルはここでこの二人の護衛を頼んだぞ?


それから…」

クリスが言うと何かをフェンリルに渡して耳打ちをした

「つまんねぇことを押し付けるな。

さっさと戻ってこい。」

フェンリルが言う

「ああ。」


クリスは近藤の近くに落ちていた鍵を拾って幸大の方へと向かった


「…。

チッ…」

フェンリルが舌打ちをした


「どうかしたの?」

明日香が言う

「お前はこれで血でも拭いとけ…


俺は奴らのことが少しはわかるほどにあいつらのチームに染まってたんだな…」

フェンリルは明日香にポケットティッシュを渡すと移動しようとする

「士郎…ティッシュなんか持ってたの?」

明日香が言う

「あのクリスってバカがお前に渡してやれって俺に渡したんだよ…

俺なんか経由せずに直接渡せばいいものを…」

フェンリルはそう言って立ち去った
< 262 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop