ハートフル・アーツ
「それよりも、なぜ抱き合っているのだ?」


なずなが拳を握って言う




「なずなさん、幸ちゃんの許嫁なんですって?」

「幸ちゃん…って馴れ馴れしくない?」

すみれが言う

「私が幸大の許嫁だと何かあるのか?」


なずなが言う





「武神流の正当継承者は武神流の巫女に選ばれた者。


だから幸ちゃんは武神流の正当継承者。



では、武神流の正当継承者と結婚する、つまりはお嫁さんになる条件とは?」

ツバメが言う



「え?」

なずなが首をかしげる

「そんなの聞いたことないわよ?」

すみれが言う


「正解は舞姫流の使い手であること。」

ツバメが言う

「確かにお母様も舞姫流を…」

すみれが言う

「だが、それが何だと言うのだ?」

なずなが言う


「まだわからないの?


武神流の巫女は正当継承者を選ぶだけ。


正当継承者の妻になれるわけではないんですよ?




正当継承者の妻には舞姫流の使い手なら誰にでもなれるんです。


ヒバリや例えば貴女の母上が未亡人になっても幸ちゃんと結婚できます。


舞姫流当主の私ももちろん。」

ツバメが言いながら動き、幸大を後ろから抱き締める


「それに引き換え、あなたたちは私が許可を出さなければ舞姫流の使い手として認められず、幸ちゃんとは結ばれませんよ、一生。」

ツバメが言う
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