ハートフル・アーツ


「服部が昔、言ってたよな?


忍者が手裏剣を落とすのは助けを求めてる暗号だって。」

幸大が言う


「う、うん…。


でも、これは僕がたまたま落としちゃっただけなんだけどね。」


あかねが言う


「そっか…。」

「…。」

「…。」


「小鷹…ありがとう。」

「別に感謝されることじゃねぇよ。


俺が殺されたくないから、殺されないために動いた。


それだけだ。」



「…ありがとう。」


ぎゅっ…。


あかねが抱きつき、幸大の胸に顔をうずめる



「殺したくなかった…

やっと、また会えたのに!!


だから、本当にありがとう…」


あかねは強く幸大を抱き締める

「…。

あとで怒られるのは仕方ないか。」


ぎゅっ…。


幸大も優しくあかねを抱きしめ返す






数分後


「そろそろ離れたらどうだ?」


なずなが言う


「あ…ああ…。」

幸大が言う

「…。」

あかねは動かない


「多少のことは見逃すが…これ以上となると、なぁ?」

なずなが言う

「はい、浮気と見なして厳しく処罰するべきだと思いますよ?」

すみれが言う




「服部…そろそろ離れた方が…」



「小鷹は僕のことを、貰ってくれるんでしょ?」

あかねが言う

「え?」


「最初にここに来て貰い受けるって…」


「あ…いや、それは…武神流でってことで…」


幸大が言う


「つまり、次期後継者の小鷹が僕を貰うんだから結果は同じだよ?」


「あの、いや…」


「貴様…」

なずなが怒りを膨らます



「仕方ないから離れるよ。」

あかねが離れた


「まったく最初からそうすれば良いものを…」

なずなが言う


「小鷹…助けてくれたお礼には及ばないけど受け取って?」


「ん?

何を…」


ちゅっ。


あかねの唇が幸大の唇と言葉を塞いだ




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