ハートフル・アーツ
「幸大君、彼は残念ながら拳聖ではないよ。」

幸明が言う


「な!?

でも…」


「父上…一体…」

あかねが言う




「くくくっ…あははははははは!!



愉快だ!!

私は貴様の父親ではない!!」


拳聖が笑う


「ど…どういうことですか…」

あかねが動揺する


「俺は貴様の父親の双子の兄だ。


わからないだろうなぁ…


見た目も声もそっくりだ。


何よりも私は他人の真似が得意でな。」


拳聖が言う

「じゃあ…父上は、どこに…」


あかねが言う


「さぁな?

愛する妻を寝取られ、殺され、娘までもが他人を父親と思い込んだ。


そんな現実に耐えきれなくて失踪したのだろう?


私は…あいつが掴み取った拳聖という立場も、忍の頭領の地位も、家族も…あいつが手に入れた全てを奪い取った!



これが私が幼き頃からずっと実行し続けた計画だ!!」


拳聖が幸大を睨む



「貴様さえ居なければ…このまま武神流も乗っ取る計画だったモノを…」


スッ…

拳聖が日本刀を幸大に向ける



「そんな…父上が…


母上は病気じゃ…


私は気づけなかった…」



あかねが譫言のように呟く



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