ハートフル・アーツ
「そんな…」


ガクッ…


あかねは地面に膝を付く


放心した目で拳聖を見ながら静かに涙を流す


心も思考も身体も…10年以上続いた現実が幻想に書き換えられていくことに付いていけない


「1つだけ聞いていいか?」

幸大が言う


「ああ…冥土の土産に何でも教えてやるぞ?」

拳聖が嘲笑いながら言う


「ずっと昔…あかねが俺の前から居なくなるとき…


あかねを連れ去ったのはお前か!?」


幸大は怒鳴りながら言う


「ああ…そうか、なるほど。

見覚えがあると思ったらそう言うことか。」

「質問に答えろ!!」

幸大が言う


「お前こそ覚えてるか?

あの時…お前を突き飛ばしたのは俺だよ!!


あははははははは!!」

拳聖は狂ったように笑う


「こいつの父親は娘を忍にしたくないとか言って外で遊ばせた!!


ガキのお前とも仲良くなったんだろう?

こいつは俺が父親と入れ替わったことも気づかずにベラベラと友達の話をしてくれたよ。


初恋の相手だ、ってな!


だがな!

こいつの父親を完全に苦しめるにはこいつが忍になることも必要だった!

こいつの父親が率いる一族の掟で自分の娘が地獄の苦しみを味わう姿を見せたくてなぁ!!」


拳聖はもはや狂気の眼差しだった



< 340 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop