ハートフル・アーツ
「何でここに?」

幸大がすみれの治療を受けながら言う


「舞姫流は武神流とつながりがあるんだからいるのは当たり前じゃない。

だから式場でのことは知ってるわ。


ただ、お父様はあまり武人会と関わりたくないからあんたを追ってった武人会が居なくなってからここに来たの。


まぁ、まだ帰ってなくてあんたがボロボロだったってのが現実ね。」


すみれが治療をしながら言う



「すみれは幸大の治療を頼むぞ?

私も舞姫流を教わった恩返し、せねばなるまい?」


なずながヤクザたちを睨む



「ところで、あいつが動かないんだけど何がどうなってるのよ…」

すみれが泰介を見ながら言う


「こやつが動かぬ理由はこれじゃろう?」


連太郎が泰介の胸部から何かを抜き取る


「はっ!?

いったい何が!?」

泰介が急に動き出す

「よくわからねぇが、そこでくたばってやがるならトドメをさしてやるよ!」

泰介がすみれの手当てを受ける幸大に向かってくる


「己の敗北にも気付かぬ馬鹿者めが…」

連太郎が言う

「すみれ、ちょっと悪いな。」

幸大が治療をするすみれから離れて立ち上がる


「死ね!」

泰介が迫り来る


ザワッ!


幸大の殺気が周囲を一気に圧倒する


「武神流真義…」

スッ…

幸大は素早く踏み込み泰介の腹部に手を当てる


「神蹄!」


ボゴンッ!

「ぐぬぁっ!?」

ガクンッ‼

泰介はその場に崩れ落ちた


「何だ…?

体に力が入らないだと?


何をした…!」


「…すみれ、悪い。

せっかく巻いてもらった包帯が…」


「ったく。

ほら、巻き直すからこっちに来なさい。」

「無視しやがって…」


「そなたの腹筋が言葉通り、崩壊したのじゃよ。


体を動かす上で要だ。

それが使い物にならん時点でそなたの負けだが…それ以前に、勝負の最中に立ったまま気絶してるようでは殺されるのと同じであるぞ?」


「気絶?

あんた、あいつに苦戦してたのに…何をやったのよ?」


すみれが言う


「これじゃろう?」

連太郎がすみれに渡したのは髪の毛だった


「白髪?

にしては色みがあるけど…」

すみれが言う


「シェリーの髪の毛だ。

本当はもう少し長かったんだけどあいつの腹を斬ったときに短くなってな。」


「それはお前さんが未熟ゆえ。

しかし、短くなった髪の毛を針のように使い、相手の気脈を読みその流れを絶った。



話で聞くよりも武人としてとても評価できる存在ではあるな。」


連太郎が言う


「てか、動けるなら加勢にいかなくて良いの?」

すみれが言う


「あいつらなら大丈夫だ。」


幸大が言う




< 381 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop