ハートフル・アーツ
20分後


「賭けは引き分けだな。」

クリスが言う

「しゃーねぇな。」

幸大が言う



「あ、ありえない…

化け物かよ!」


「化け物で結構。

娘のためなら親は悪鬼羅刹、修羅にもなる。」

壮一郎が新郎に近づく



「待てよ!

これはあいつと俺の喧嘩だ!

部外者が口出しするなよ!」



「そうか、ならば我々も帰ろう。」

武人会の老人が言う

「は?

逃げるのかよ!」


「貴様が自分で言ったのだろう?

喧嘩に口出しするな、と。


それに、この者ら相手に一戦交えるくらいなら、世界中の軍隊を敵に回したほうがまだマシだ。」



老人たちは立ち去ろうとする


「ああ…そうだ。


武神流の次期当主よ。」


「何だよ…?」

幸大が言う

「武人会に入りたくなったらいつでも来なさい。


我々は君を歓迎しよう。」




そう言い残して武人会の面々は立ち去った






「師匠たち、こいつは俺との喧嘩だって言ったんだろ?

だったら、俺が相手をするよ。」


幸大が言う

「な!?

あんた、ボロボロなのよ?」



すみれが言う


「大丈夫。

すみれの手当てのおかげで、な。」







幸大は新郎と向かい合う

(バカめ!

そんなボロボロの体じゃ勝てるわけねぇ。


こっちには拳銃もナイフもある。

何発か撃ったが…弾も残ってる。


こいつは終わりだ!)



「何か考え込んでるみたいだが、大丈夫か?」

幸大が言う



「黙れ!


お前は終わりだ!」


パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!


拳銃が火を噴いた


「龍流し。」


銃弾が龍の幻影を通過すると、銃弾の軌道は屈折、歪曲して幸大に当たることはなかった




< 390 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop