ハートフル・アーツ
「いい加減、ケリを着けようか?」


幸大が言う


「こいつも化け物かよ‼


来るな!

近づくな!」

ナイフを取り出して振り回す


「それじゃ、紙も斬れねえよ。


刃物は刃の軸を真っ直ぐに振らなきゃ…」


ガッ!

幸大は掌で刃を受け止めた

「素手で受けることも簡単だ。

俺は見ての通り右腕は使い物にならない状態だ。


左手は今、ナイフの刃を受け止めている。


お前がこのまま俺の左手を使えなく出来れば勝ち目はあるかもな?」


幸大が言う

「くっ…

バカにするな!」


ドッ!


男の拳は幸大の肋骨を殴っていた


カランッ!


手放したナイフは地面に落ちる


「お前は肋骨が折れてるんだろ?

肺や心臓にでも刺さっちまえ!」




だが、幸大は微動だにしない


「武神流真義、神槌!」

ドゴンッ!


幸大の拳は男の顔面を殴っていた


おおよそ、人体を殴っても鳴らないであろう音が響いた



「………。」


ドサッ…

男は気絶しその場で崩れ落ちた




「お姉ちゃん!」

ヒバリがやってくる

「ヒバリ!

お父様、お母様…」

ツバメが言う


「ツバメ、すまなかった。」

父親が謝る

「あなたのことを考えずに家のことばかり考えて…」

母親が謝る


「私が二人にいっぱいお説教したから…

わかってくれたみたい。」


ヒバリが言う




「もう、無理強いはしない。

ツバメの好きに生きなさい。」


父親が言う


「お父様…ありがとうございます。」

ツバメが涙を浮かべながら言う


「君が小鷹君だね?


娘のこと、本当にありがとうございました。」


ツバメの両親は深々と頭を下げた




「ツバメ…良かったな。」

幸大が言う


「うん!」

ツバメが泣きながら笑う


「ガフッ!?

げほっ!」


幸大が咳き込み口から血を吐く


ドサッ…


幸大が倒れる


「あのバカ!

最後の攻撃を真正面から受けたからアイツの言うとおり、肺に折れた骨が突き刺さったんだわ!」


すみれが幸大に駆け寄る


「誰か!

救急車を!


このままじゃ…」

すみれが言う



「まだ死なねぇよ。」

幸大が小さく言う

「このままじゃ出血多量で失血死するわよ‼


それに血液が気管を流れてるし、呼吸困難…血液が万が一凝固したら呼吸不全で…」



「なるほど…」


ドッ!

幸大は自分の胸を指で突く


「あんた、何を…」


「確かに、呼吸は楽になったな…」

幸大が言う


「己の肺の気脈、気穴を突き一時的に肺の機能を停止させたんじゃろ?


救急車は呼んだ。

気脈は救急車が到着したらワシが解放してやる。


今は休め。」


連太郎が言う


「そうか、助かる…」


ガクッ…

幸大は気絶した




「さぁて…僕らも退散しようか?


じきに警察が来るよ。」


幸明がヤクザたちの持っている拳銃を見ながら言う



「外で発砲してるしな。

さっさと逃げよう。」

クリスが言う



「とりあえずは一件落着ね。」


シェリーが言う


「ぶー…

私としてはモヤモヤが解決してないよぉ…」


ツバメが呟いた






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