ハートフル・アーツ
「ところで、なんであんたは城に?」

幸大が言う

「まぁ、人に会いに…」

幸明が言う

「そうか。」


「君たちこそただの芸人が城に何の用だい?」

幸明が言う

「城主に気に入られれば喰うに困らない、それだけさ。」


幸大が言う

「なるほど。」

「あの、今って西暦何年なんですか?」

すみれが言う

「はて?

西暦とは?」

幸明が言う

「すみれちゃん、いったい何を…」

あかねが小声で言う

「開祖がいつの人間か気になっただけよ…」

すみれが言う


「西暦とは新しい年号のことかい?

だったら、オイラたちは詳しくはないよ。

町や近隣の農村なら御触れが出るけどオイラたちの村は領地のはしっこだからね。

よっぽどのことじゃないと御触れが掲示されないからね。



最近だと、城主が新しくなったってことくらいかな…」


幸明が少しだけ鋭い目をした






「小鷹、遠くにお城が見えるよ。」

あかねが言う

「あんた、よく見えるわね…

私には何も見えないわよ?」

すみれが言う


「鍛え方が違うんだよ、僕の視力は!」

親指を立てながら嬉しそうに言う



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