ハートフル・アーツ
その夜


朝霧家(武神流総本山)


「はふ…」

なずなは屋根の上で涼みながら幸大の家のある町の方を眺めていた


「御姉様、こんな所に居たら風邪をひきますわ。」


すみれが屋根に上がってきた


「体が火照っていたからな…」

なずなが言う

「今日は帰宅してから随分とご機嫌のようですが…」

すみれが言う

「誰にも言わないなら教えてやっても良いのだぞ?」

なずなが嬉しそうに言う

「よっぽど誰かに話したいんですね…

私も是非ともお聞きしたいです。」


すみれが言う



「幸大と…口付けをした。

しかもディープなヤツをだ!」


なずなが自慢気に言う


「な!?

あの男、私だけでなく御姉様の唇も奪ったの!?

しかもディープキスって!

あの男、万死に値す……る?」


すみれは凍りつくような殺気を感じ取った


「幸大はすみれとも口付けを?」


「えーと、いえ、その、あははは…。


おやすみなさい、御姉様!!」


すみれは危機を察知して逃げ去った




「おやおや…これはおもしろい…もとい、大変なことになりそう、なのかな?」

幸明が広場からなずなを見る



「人の恋沙汰を笑うのはいけないわよ、あなた。」

綺麗な女性が言う



「いやいや…笑顔は大事さ。


彼も僕の弟子なら…大切な人の10人や20人…100人くらい守れないとね。」


幸明が振り返ると数人の綺麗な女性が呆れた顔をする


「あなたも少しは女性の身にもなってくださいよ?」

女性が幸明の頬を引っ張る

「ひゃい。」

幸明は引っ張られ笑いながら頷いた
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