ハートフル・アーツ

「あかね…いったい、どういうことだ？」

なずなが言う

「好きな人とデートしたいのがそんなに変だと…僕は思わないけど？」

あかねが言う

「今までのお前らしくはない。」

なずなが言う


「奈落天上の城…この件が…僕と幸大を…そして、僕の家族を傷つけた大きな発端だから…。

お父さんは…この件で長く家をあけて…おじさんに家を乗っ取られ…

…まぁ、知っての通りの人生だった…から。」


あかねが澄み渡る青空を見上げた


「この件が片付けば…普通の女の子として生きていける…そう思ってたけど…違うんだ。」

あかねが言う

「違う…？」

「普通の女の子じゃ…幸大の隣にはいられないから。

なずなや幸大に迷惑かけた負い目を…この件が終わったらさ、気にしないって…決めた。」


「…負い目、か。

幸大はともかく、私はそんなに大したことはしていないがな。」

なずなが言う


「なずな。」

「ん？」

「この件が終わったら、私はもう、遠慮も手加減もしない。


どんな手を使っても…幸大を落として、陥として、堕として魅せる。

もちろん、既成事実だっていとわない。

だから…覚悟してね。」

あかねが言う


「宣戦布告のつもりか？」

なずなが言う

「シェリーたちにもあとで言うけど…やっぱり、婚約者には1番に…と思ってね。」


「私は負けんぞ？」


「2人で話してるところ悪いけど、私も負けないから！」

ジニーが言う

「まぁ…お母さんが房中術とか寝技を色々教えてくれるって言ってたから…それを身につけるまでは猶予期間かなぁ〜。」

あかねが意地悪な笑みを浮かべる


「わ、私だって…牛乳とか、キャベツとか鶏肉とか大豆とか…」

なずなが言う


「それって胸が大きくなるって噂だけど、科学的根拠ないはず…。

てな訳で、私が今すぐ、このダイナマイトバディで幸大をメロメロにしてくる！」

ジニーが教室を飛び出す

「待て！

そのダイナマイト、私が力づくで爆発させてくれる！」

なずながジニーを追いかける


「恋する乙女は強し…か。」

クリスが言う

「まぁね。」

「だが…お前とのデートという欲望と妄想を暴走させたあいつは…さらに強いと思うけどな。」

クリスが言う