ハートフル・アーツ
その夜


朝霧家

「…と言うことです。」

すみれがなずなの前で正座をし、幸大とのキスの経緯を洗いざらい吐かせていた



「ふむ。

幸大が言ってたことと変わらないか…。

…それに、そのキスが無ければすみれに阻まれたまま私のもとへ駆け付けることもなかった。


今回は許すが次は無いぞ?」


「はい、御姉様。

二度と無いようにあの男を抹殺して…」


「物騒なことを言うな。

それに…すみれや私よりも強くなっているかも知れないぞ、幸大は。」

「な!?

あのヘナチョコがですか!?」

「強くならねばならないからな。

幸大はいずれ武神流を継ぎ…その私の旦那にもなるんだしな…」


なずなが頬を赤らめる

「御姉様があのクズ男に騙されてる!?」


すみれがショックを受ける







「ふぅ…

今回のは雑魚だったけど…彼の周りが騒がしくなりそうだね。」


「旦那様…嬉しそうですね?」


「そうかい?

彼は最強に、誰よりも強くなるよ…この僕が師匠なんだからね。」

幸明が月を見上げる


「弟子が最強になるのが嬉しいんですか?」

「違うよ。

彼は最強に興味も無ければ、目指してもいない。



僕と同じさ。

ただ…好きな人の隣に立って、その人の手を握っていたいだけなんだよ。」


幸明が女性の手を握る


「あら…嬉しいことを言ってくれますね。」



「まぁ…ね。

こう見えて僕はロマンチストなのさ。」


2人は無言で月に微笑んだ
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