12時の鐘が鳴る頃に…

「ひなさん…」

「ご、ご機嫌よう。雪絵さん…」


そう言ってスカートの裾を少し持ち上げた彼女。

可憐かつ優雅な立ち振る舞いに思わず感嘆の声が漏れる。

どうして、この人はこんな姿の誰にでも嫌われる格好の私に、分け隔てなく話しかけてくるの?

は!まさか、私のことが好きとな…!?

って、馬鹿な考えは止めましょうねー。はい。


それで、貴方は何用でここに?

もじもじと私の表情を伺っている伊集院 雛姫(イジュウイン ヒナキ)さんこと、ひなさん。

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