Sweet Heart
楽ちゃんに鳩尾を殴られ、気絶してしまったきぃ兄ちゃん。
私と葵君は呆然と突っ立っていた。
「ごめん、姉ちゃんと葵さん。きぃ兄を止められなかった。」
「俺は別に…」
「うん!気にしないで!それより何できぃ兄ちゃんが居るの?」
私は楽ちゃんに笑顔で気にしないでと言うと、なぜきぃ兄ちゃんが居るのかと聞いた。
「特別に連休を貰って家に帰って来たんだよ。迷惑な話だよね。」
「そうなんだ~。」
楽ちゃんは困ったようにため息を吐き、軽くきぃ兄ちゃんの頭を叩く。
連休を貰って帰ってきただけなのに、迷惑な話って…
楽ちゃんはお父さんだけでなくきぃ兄ちゃんに対しても冷たいな…。
「相変わらずきぃ兄はドが付くほどのシスコンでさ…、
知らないうちに姉ちゃんに許嫁ができたものだから暴れ出したんだ。」
「なるほどな。見てたらわかる。」
葵君は楽ちゃんの説明に納得し、苦笑した。
「また目覚めて暴れられても困るから、とりあえず連れて帰るね。」
「うん。ありがとう。1人で大丈夫?」
「うん。平気。」
そして楽ちゃんは、軽々と自分より大きいきぃ兄ちゃんを背負って家を出て行った。