Sweet Heart
「葵君、ごめんね!きぃ兄ちゃんを見て驚いたでしょ?」
「…まぁな。」
私は驚かせてしまったことを申し訳なく思って葵君に謝る。
「普段、きぃ兄ちゃんは長距離トラックの運転をしていて、遠くまで仕事に行ってるからなかなか帰って来ないんだ。
だから私もきぃ兄ちゃんが家に来てびっくりしたよ…。」
私自身、きぃ兄ちゃんが帰って来たことに驚きを隠せない。
本当は優しくて面白いお兄ちゃんなんだけど、
なぜか武蔵みたいに私の周りにいる男の子を嫌うんだよね…
そのせいもあって、流唯以外の男の子は私に一線を置いて話している気がする。
葵君もそうなったら嫌だな…。
「心配すんな。俺の姉貴も強烈なキャラだから慣れてるよ。」
「葵君…」
すると私の不安気な表情から悟ってか、葵君は優しい笑顔を向けて頭を撫でてくれた。
葵君の手、大きくて何だか落ち着く…。
「てか俺は真智の兄貴より…」
「きぃ兄ちゃんより?」
「弟の方に驚いた…。」
葵君は先ほどの楽ちゃんの行動を思い出し、少し苦笑する。
それもそのはず。
楽ちゃんは武蔵の道場に通っていて、武蔵や流唯と同じ道場の三本柱と呼ばれてたもんね…。
葵君が驚くのも無理はない。