Sweet Heart
 


…と、思ったその時



「真智の相手は誰だろうと俺が許すかぁー!」


「きっ、きぃ兄ちゃん!?」



なぜか居るはずのないきぃ兄ちゃんがドアを破壊するような勢いで開け、教室に入ってきた。



みんな、唖然とした顔できぃ兄ちゃんに注目する。



「何できぃ兄ちゃんが学校に居るの!?」


「そんなの家で黙って過ごせるわけないだろ!真智がいつあの男に喰われるか心配で心配で…」



何を想像したのだろうか…きぃ兄ちゃんは顔を真っ青にしながら私に抱きついてきた。



きぃ兄ちゃん、みんなが変な目で見てるからやめて欲しい…。



「だから真智を守るため、すげぇ苦労して脱出してきたんだよ!」


「脱出?」



脱出ってどういうことだろう?



「楽の奴が容赦なくてな…。楽に倒された後、紐で手足を拘束された上、部屋に監禁されたんだぞ!」


「そっ、それはちょっとやりすぎだね…。」



きぃ兄ちゃんの必死に喋っている姿を見ているだけで、どれほど過酷なものだったのかがわかる…。



楽ちゃん、あぁ見えても結構やることは酷い(ムゴイ)からね…。



なんて思いながら、私はきぃ兄ちゃんを哀れんだ目で見ていた。




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