Sweet Heart
「どうしたの?もう部活始まってる時間だよ?」
「あぁ、わかってるんだけど…」
息切れし肩で呼吸をしている武蔵。
どうしたんだろ?何かあったのかな?
私は心配になり武蔵を見ていると、武蔵は慌てて「大したことじゃないから!」と言った。
「…大したことじゃないんだけど…ごめんな、俺も一緒に断ってやれなくて。」
「えっ!」
「真智、すっげぇ悩んでるのに…俺、何も言えなかった。」
そう言って頭を掻きながら武蔵は申し訳なさそうに、私に頭を下げる。
武蔵…心配してくれてたんだ。
それだけで私は嬉しくなり、少し笑みがこぼれた。
「明日俺も一緒に言ってやるから悩むなよ!だから元気を出せ!なっ?」
「うん!ありがとう!」
私の満面の笑顔を見て安心し、武蔵は私の頭を軽く撫でて部活へ向かった。
わざわざそれだけのために来てくれたなんて…武蔵は相変わらず優しいな。
「じゃあ、帰ろっか…って先に行ってるし!」
私は隣に居たはずの葵君に話し掛けたが、葵君は既に校門の方へ歩いていた。