Sweet Heart
「よぉ、真智!おかえり!遅かったな」
「うん。文化祭で出店する家庭科の出し物を考えてたから……って違ーう!」
あまりにも普通に会話をしてしまった私は、思わずノリツッコミをしてしまった
うわぁ…私ってば葵君の前で何やってんだろ…
私はチラッと葵君を見ると、やはり呆れた顔で私を見ていた
「何でまたきぃ兄ちゃんが家に居るの!?」
「あっ?そんなの決まってんだろ。こいつにお前らの婚約を解消させるために来たんだよ」
「……こいつ?」
親指を立ててクイッと後ろの方を指すきぃ兄ちゃん
私は"こいつ"の存在に気づかなかったため、親指の方向を見る
「……誰?」
「誰ってヒドいじゃないか!我が愛娘!」
顔を近づけても誰だかわからず、きぃ兄ちゃんに問いかけたらきぃ兄ちゃんと葵君はなぜかずっこけていた
そして私の言葉に傷ついた目の前にいる人物は私を我が愛娘と呼んで大泣きする
……愛娘?
って、まさか!?
「おっ、お父さん!?」
「そうだ!真智の愛するパパだよ!」
私がようやく誰なのかを理解すると、お父さんはまた大泣きしながら私に抱きついた
…愛するパパかは別として、本気でお父さんだってわからなかった
なぜなら普段の優しそうな顔をしているお父さんの顔はひどくボロボロで、
顔は誰かに殴られたように赤く腫れ上がり、どこに目や鼻があるのかわからないくらいだったからだ