Sweet Heart
私がたった一言言い終えると亜沙美は何かを考え込んでいた
「そっか…でもね、真智。あんたも思ってることは葵君にちゃんと伝えなきゃだめよ」
「思ってる、こと?」
「うん。例え葵君に迷惑かけるからって思っても、時には自分の気持ちを相手にわかってもらうことも大事よ」
亜沙美の言葉は今の私にはとうてい理解ができるはずもなかった
だけど亜沙美は間違ったことは言っていないということはわかる
私の気持ち…
もし葵君に伝えたら葵君はどう思うかな?
それに逆に葵君が私に思っていることを隠していたらちゃんと言ってくれるのかな?
どちらにしても私は葵君と何でも言い合えるような仲になりたい
「よし!もう疲れちゃったから帰ろっか!」
「そうだね!…まぁ、疲れる程何もやってないけどね…」
そして私と亜沙美は結局文化祭での出し物を考えずに、関係のない話をして今日の部活動を終わらせた
「ただいま~!」
葵君は文化祭の手伝いもせずに帰ったらしく、1人で帰宅
もちろん既に葵君の靴はあった……が、
なぜか見覚えのあるちょっと古びた黒いサンダルとサラリーマンが履く茶色の革靴もあった
リビングから声も聞こえるし…誰が来てるのかな?
そう不思議に思いながらリビングのドアを開けると…
「なっ!きぃ兄ちゃん!」
何とリビングには葵君ときぃ兄ちゃんがいた