Sweet Heart
━数十分後…
「葵君のお姉さんだなんてビックリしました!」
「初対面だもんね!」
とりあえずリビングに入り、紅茶を飲みながら事情を説明してもらった。
この綺麗な女の人、名前は五十嵐蘭(イガラシラン)さんで
葵君のお姉さん。
年齢は23歳で、凄く大人っぽい。
上手く巻かれた茶色の長い髪、くっきり二重の大きな瞳。
そしてスラッとした長い手足に、綺麗な体のライン。
爪の先まで美しさを感じるてしまう…。
「で、何であんたはそんなに機嫌悪いわけ?」
蘭さんは紅茶を一口含むと、さっきから黙ったまま人差し指で机をコツコツ鳴らしている葵君を見た。
「当たり前だろ!突然、香山に捕まったと思ったら、手足を紐で縛って、車に無理矢理押し込みやがって…。
挙げ句の果てには、普通に降ろせば良いのに、ボーリング球みたいに投げやがって!」
葵君はついに頭の中の糸を切れたように、机を叩いて立ち上がった。
…うわぁ。想像できなさそうでできる光景。
「何言ってんのよ!?あんたが逃げようとするからでしょ!」
そう言って、今度は蘭さんが机を叩いて怒った。