Sweet Heart
「じゃあ、次!」
「はい!」
ただ今、女子はマット運動、男子は柔道に分かれて体育を行っている。
そんな中、私と亜沙美は順番が来るまで壁にもたれながら座って待っていた。
「はぁ…。何で武蔵は葵君のことが気に入らないんだろう…。」
私は葵君と武蔵のことを思い出し、男子がいる方を見ながら困ったようにため息を吐く。
一方、亜沙美はなぜか黙ったまま、頬杖をついて同じように男子の方を見た。
「幼い時は近所にいた男の子と遊んでると、いきなり怒って暴れ出したり
小学生の時も私と話す男の子を強く睨んだり…中学生の時だって……」
語り始めると止まらない。
武蔵が冷たくしたり怒ったりするのは葵君だけじゃなく、私と関わる流唯以外の男の子に対してもそうだった。
理由はわからないけど…何でだろう。
「…真智さ、本当にわからないの?」
「えっ?わからないって何が?」
すると今まで黙っていた亜沙美が真剣な顔をして私に聞いてきた。
「何がって…何で武蔵が真智と関わる男子に対していつも態度が悪い理由よ。」
「へっ?」
私は亜沙美の言った意味がわからず、まぬけな声を出して首を傾げた。