Sweet Heart
 


「じゃあ、次!」


「はい!」



ただ今、女子はマット運動、男子は柔道に分かれて体育を行っている。


そんな中、私と亜沙美は順番が来るまで壁にもたれながら座って待っていた。



「はぁ…。何で武蔵は葵君のことが気に入らないんだろう…。」



私は葵君と武蔵のことを思い出し、男子がいる方を見ながら困ったようにため息を吐く。


一方、亜沙美はなぜか黙ったまま、頬杖をついて同じように男子の方を見た。



「幼い時は近所にいた男の子と遊んでると、いきなり怒って暴れ出したり

小学生の時も私と話す男の子を強く睨んだり…中学生の時だって……」



語り始めると止まらない。


武蔵が冷たくしたり怒ったりするのは葵君だけじゃなく、私と関わる流唯以外の男の子に対してもそうだった。



理由はわからないけど…何でだろう。



「…真智さ、本当にわからないの?」


「えっ?わからないって何が?」



すると今まで黙っていた亜沙美が真剣な顔をして私に聞いてきた。



「何がって…何で武蔵が真智と関わる男子に対していつも態度が悪い理由よ。」


「へっ?」



私は亜沙美の言った意味がわからず、まぬけな声を出して首を傾げた。




< 77 / 179 >

この作品をシェア

pagetop