Sweet Heart
「…ったく。あんたは本当に鈍感な女ね!」
「鈍感…?えっ!っていうことは亜沙美は武蔵が怒ってる理由を知ってるの!?」
私がそう聞くと、亜沙美は一瞬大きく目を見開き、次の瞬間今度は呆れたように大きくため息を吐いた。
「私どころか、真智以外の2年の生徒はみんな知ってるっつぅーの。」
「えぇ!?私以外みんな知ってるって何で!?」
うっ、嘘…。
何でみんな、武蔵が怒ってる理由がわかるの!?
わかってるのなら誰か教えてよ!
「…まぁ、こればかりは真智が変わらない限りどうにもならないね。」
「意味わかんないよ!教えてよ、亜沙美!」
「あっ。男子が面白いことをしてるから見てみな。」
亜沙美に教えてもらおうと必死に両肩を掴んで揺さぶるが、
亜沙美は一切私を見ることなく、むしろ無視して話を逸らした。
ちぇっ!話逸らされちゃった…。
良いもん!後でこっそり流唯に教えてもらうんだから!
私は頬を膨らましながら、渋々男子を見ることにした。
━バンッ!
「一本!勝者、五十嵐!」
何やら男子は柔道のトーナメント戦をしてるらしく
私が見た時には葵君が流唯に大外刈りを決めていた。