Sweet Heart
「とにかくだ!俺は絶対お前のことを認めないからな!」
俺は五十嵐を指差し、宣戦布告をしてやった。
俺は昔から真智がずっと好きで、いつも側にいながら守ってきた…
それを急に現れた知らない男なんかに譲るわけにはいかねぇ!
五十嵐にそう言い残し、俺は屋上から去ろうとした…
その時だった。
「俺は真智と結婚しない。」
「えっ?」
その言葉は俺の足を止めるのに充分なもので、俺は再び五十嵐の方に顔を向けた。
「親父達が勝手に決めただけで、俺達は結婚するつもりなんかねぇよ。」
「何言ってんだよ!そんなこと言ってもお前達だけで何とかできるのか!?」
俺は信じられないと言わんばかりに反抗する。
五十嵐の親父がどんな親父か知らねぇけど、真智の親父は手強いぞ!
それに"許嫁"なんてそんな簡単にやめれるわけがねぇ!
「誰が何と言おうと俺が絶対に許嫁なんかやめさせてやる。…真智のために。」
五十嵐の凛とした表情が、どれだけ真剣に言っているのかを物語っている…。
俺はそんな五十嵐を見て、本当に真智と結婚しないつもりだと確信した。