不器用上司のアメとムチ
よく晴れた日曜日。
京介さんは自慢のBMWであたしを迎えに来た。
ブルーの車体は陽の光でキラキラと眩しく輝き、不安なまま今日を迎えたあたしの心を少し浮き立たせる。
「やっぱり、ヒメによく似合う。そのワンピース」
さらには京介さんが王子スマイルでそんなことを言うものだから、車が走り出した時にはすっかりいい気になって、彼のハンドルを握る姿に見とれてた。
やっぱり、これはデートだよね……?
「――もうすぐだよ」
「わぁ、楽しみです。お料理もですけど、京介さんと二人で外でご飯食べるの、久しぶりだから……」
はにかみながら言ったあたし。
そして上目遣いに京介さんを見つめてみたけれど、彼は何故だか目を丸くしていて……
「……二人じゃないよ?」
ものすごく軽い調子で、そんな信じられない一言を口にした。