不器用上司のアメとムチ
面会時間が終わりに近づくと、佐々木と森永さんは気を利かせて先に病室を出てくれた。
あたしは改めて久我さんの姿を眺めると、ふっと笑う。
「……なんだよ」
「その眼帯してると……極悪非道な海賊みたいです」
「あぁ、これな。大した怪我じゃねぇんだが、まぶたが腫れ上がってみっともねぇらしい。……全く、お前の顔がよく見えなくて嫌になる」
久我さんの発言で、自分の顔が赤くなるのがわかった。
ど、どうしちゃったの……?
そんな台詞を恥ずかし気もなく言うなんて。
一人照れまくるあたしには気づかず、久我さんは窓の方を見ながら言った。
「小梅」
「は、はいっ!」
「明日も来てくれるか……?」
そう言ってこっちを向いた彼の瞳は“心細い”と訴えているようで、あたしの心臓がきゅぅぅんと音を立てた。
可愛い……
見た目は手負いの海賊なのに、小さな子どもみたい……