NA-MI-DA【金髪文学少年の日常】
「……ねぇ、ナミダって名前にはどんな意味があるの?」
しばらく黙って歩いていたが、ふと遠藤が声をあげた。
「さぁ……わかんね」
昔、祖父に聞いた気もするが、幼い日の記憶だ。
もう内容は覚えていない。
どっちみちはっきりした回答ではなかったように思う。
ただ、聞いたことで妙に安心したことだけ覚えている。
「いいな……ナミダ、なんて。私は私の名前好きじゃない」
「知恵、だろ。なんでだ?ナミダよかよっぽど良い名前じゃね」
遠藤はことさら渋い顔をして首を横に振った。
「だって、ありきたりなんだもの。知恵だなんて。きっと賢い子になって欲しかったのね。期待は外れたみたいだけど」
それは自分と同じ高校に通っているという事実だけで分かる。
「別に勉強のことだけじゃないだろ。知恵って結構良い名前だと思うけどな、俺は」
知の恵み。
自分の空っぽなカタカナのナミダなんかよりよっぽど綺麗で良い名前のように思う。
「……そう言ってくれる人がいると知ったら、うちの両親も喜ぶわ」
皮肉っぽい口調が何やらとげとげしかった。
しばらく黙って歩いていたが、ふと遠藤が声をあげた。
「さぁ……わかんね」
昔、祖父に聞いた気もするが、幼い日の記憶だ。
もう内容は覚えていない。
どっちみちはっきりした回答ではなかったように思う。
ただ、聞いたことで妙に安心したことだけ覚えている。
「いいな……ナミダ、なんて。私は私の名前好きじゃない」
「知恵、だろ。なんでだ?ナミダよかよっぽど良い名前じゃね」
遠藤はことさら渋い顔をして首を横に振った。
「だって、ありきたりなんだもの。知恵だなんて。きっと賢い子になって欲しかったのね。期待は外れたみたいだけど」
それは自分と同じ高校に通っているという事実だけで分かる。
「別に勉強のことだけじゃないだろ。知恵って結構良い名前だと思うけどな、俺は」
知の恵み。
自分の空っぽなカタカナのナミダなんかよりよっぽど綺麗で良い名前のように思う。
「……そう言ってくれる人がいると知ったら、うちの両親も喜ぶわ」
皮肉っぽい口調が何やらとげとげしかった。