NA-MI-DA【金髪文学少年の日常】
永遠
「遠藤」

「うん?」

「今度の週末、暇ある?」

「うん、大丈夫」

「古本屋めぐりしないか?」

「いいよ」

隣の席で、遠藤が笑う。

なんというか、もうそれだけでナミダは幸せだった。

放課後は凪人と待ち合わせ、家に帰ったら、叱られる親父を眺めながらばあちゃんの飯を食う。

日常が緩やかに過ぎてゆく。

限られた日々であることを知っていながら、永遠を望み、永遠を過信してしまう。

いつかこの日々を後悔する日が来るのだろうか。

若いあの日、どうして自分はもっと求めなかったのだろうかと、青春を知ろうとしなかったのだろうかと嘆くだろうか。

それはそれで構いはしない、とナミダは思う。

「ナミダ、これ、読みたがってた本」

遠藤がナミダに本を差し出す。

小さな青い本だった。

「ありがとう」

ナミダはその本を手にとり、心からの笑顔を浮かべた。










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