NA-MI-DA【金髪文学少年の日常】
次の日の朝、遠藤は教室に入ってきたと思ったら、ナミダには目もくれず、華やかな少女たちの集団に近づいていった。

そしてその中でもひときわ端正な顔立ちをした少女に近づくと、ぱーん、と平手打ちをかました。

教室中のクラスメートがあんぐりと口を開ける。

「あんたたちなんてだいっきらい。化粧濃いしなんか臭いし口は汚いしパンツ見えそうだし、それにとってもやな奴だもの」

少女たちの大半はナチュラルメイクで、香水もきつくはない。

でもまぁ。

後半は事実だよなぁ、とナミダは苦笑った。

もちろん、彼女たちなりに良い人なのかもしれないが、遠藤にとっては臭いのキツイ毒花みたいなもんだろう。

「私の悪口言うのは構わないけど、聞こえないところでお願い。うっとうしいから」

遠藤は彼女たちに背を向け、颯爽と席についた。

沈黙が教室を包む……と、誰かが、ぷっと吹き出した。

「なにあいつ、なんでいきなり元気になってんの、ウケるんだけど」

くすくす笑いが次第に広がっていき、遠藤はクラス中に笑われるはめになった。

しかし、いつも通りどこ吹く風だ。

「おはよう」

ナミダが声をかけると、遠藤はニッと笑った。

「おはよう」

遠藤の身体は小さく震えていたが、瞳には強い光が見えた。



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